カテゴリー: ニュース

弊所にて特許出願を担当させて頂きました発明のご紹介(商品モニター募集のお知らせ)

今回の新着情報は、弊所で特許出願を担当させて頂きました、中尾順一様のご発明(車椅子用治具)を紹介させて頂きます。

まずは、百聞は一見に如かずですので、中尾様制作の動画(YouTube)をご覧ください。

次に、ご発明の内容を解説させて頂きます。
発明の基本となるものは下図に示す板状部材なのですが、主にアーム状部材と組み合わせて使用する構造となっています。

 

使い方は、まず板状部材を車椅子のアームフレームの下部に固定します。
この際、下図のようにアームレストを固定するためのボルト孔を活用し、アームレスト固定用のボルトを長尺のものに変更して固定します。

 

次に、下図のように、板状部材の側面にアーム状部材を連結して使用します。
具体的には、アーム状部材の上にテーブルを載せて食事や読書などに使用したり、別途作製した台を置き、その上に買い物かごなどを載せて使用します。

 

ここで、通常、テーブルなどの使用時にはアーム状部材に下向きの荷重が掛かることになりますが、今回のご発明(車椅子用治具)は、板状部材がアームフレームの下部(真下)に固定されていますので、アーム状部材に下向きの荷重が掛かった場合でも、板状部材には連結部分を支点とした上向きの力が掛かることになります。
そして、この上向きの力はアームフレームによって受け止められることになります。
つまり、アーム状部材に掛かる下向きの荷重は、使用者が座っている車椅子全体によって受け止められることになります。

従って、今回のご発明を用いれば、アーム状部材のぐらつきはなくなり、テーブルなどを安定して使用することができることになります。この点は、単純にアームレスト上に載せて使用する従来の車椅子用テーブルに比べて、大きな利点になります。

また、従来の車椅子用テーブルは、手前側が使用者の胴周りに沿うようにえぐられていることから窮屈で拘束感がありましたが、今回のご発明を使えばテーブルが使用者から適度に離れた状態に位置するので、使用者が窮屈さを感じることを大幅に軽減することができます。

なお、上図のアーム状部材は折り畳み式のものを使用していますので、未使用時には折り畳んで収納することもできますし、アーム状部材に替えて、傘立てなど様々な部材を安定して連結することもできます。

 

発明者の中尾様は、車椅子生活をされていたお母様の介護をされていた際に今回のアイデアを思いつかれたそうです。
従来の車椅子用テーブルを使われていた際は、窮屈であることに加えて、座高が低い老人にとっては食器が顔の直前に位置することになることから、常に料理の臭いを嗅ぐことなどを嫌がって、お母様が食器を払い除けようとしたり、テーブルごと払い除けようとしたりする仕草をされて、食事の介助が大変だったそうです。
一方、今回の車椅子用治具を使い始めてからは、テーブルとの距離を保つことができることから、そのような仕草をされることはなくなり、食事の介助が随分と楽になったとのことです。

また、従来の車椅子用テーブルを使われていた際は、毎回食べ物をお母様の目線の高さまで上げて食べ物であることを確認させてから食べさせるという動作が必要だったそうですが、今回の車椅子用治具を使い始めてからは、着座者とテーブルがある程度離れた状態に位置することから、お母様も自分の目線上に自然と食べ物を視認することができるので、そのような動作も不要になり、負担が大幅に軽減されたとのことです。
お母様もご自身の目で食べ物を視認することができることから、食欲も増すようになった(食べさせられているのではなく、自分から食べようという意識に変わった)とも仰っていました。

さらに、従来の車椅子用テーブルの使用時は、着座者の足元が介助者にとって邪魔になることから、どうしても着座者の横に位置して介助をしなければならなくなるのですが、今回のご発明を用いた場合には、着座者とテーブルとの距離があることから、着座者と対面して食事介助を行うことができるそうで、着座者と対話しながら、食事の介助ができるようになるとのことです。

ほとんどの車椅子に設置可能とのことで、ご発明者の中尾様はこの発明を出来るだけ多くの方に活用して頂いて、介助の負担を軽減してもらいたいと考えられています。
また、発明をテストしてくださる方(商品モニターとしてご意見などのご協力を頂くことが可能な方)については、5月末日までにお申し込み頂ければ無料で提供します、とのことです。

もし、ご使用の車椅子にとお考えの方がいらっしゃいましたら、是非、尾様(メールアドレス:sakuemon.table@gmail.com、TEL:090-3658-0796)までお問合せ下さい

事務所だより🌷

事務所だより担当の的場です。
新年明けましておめでとうございます。

暑くて大変な思いをした夏も駆け抜ける様に秋が去り、ようやく冬の寒さがやってきましたね。
私は、冬の澄んだ空気や吐く息が白くなるのも何となく好きです。

マスク生活も、私はインフルエンザ対策にと一昨年の年末から行っていたので、早いもので1年となります。
夏は暑さにより、マスクを煩わしく感じていましたが、今は顔面が半分以上覆われるせいか、寒くなく不快さが心地よさへと変わりました。

そんなマスクも出ているのは目元のみで、すれ違う人の表情や、接客をして下さる方の表情をその見えている目元のみで人の心理を判断しないといけないうえ、さらにソーシャルディスタンスを取る様促されたりと、他人との距離がますます出来てしまい、なんとも暮らしにくい世の中になってしまったなぁと思っています。

この1年を過ごし、仕事における形式も各業界では試行錯誤の末、多くの変化がありました。いろんな形を見出し、今まで普通に行われてきた事を改善しつつ、この先コロナが落ち着いてからも無駄な事は省き、新様式を取り入れられていける様な発見もあったりと、きっと悪い事ばかりではなかったのかなとも思います。

早くマスクが取れないと、たまにしか合わない人の顔を忘れてしまいそうで...それが心配なのですが。

今年は、もっと人の温もりを身近で感じられる世の中になればいいなと思います。
もうしばらくの辛抱ですね。
あとは、終息へと向かうのみです。

頑張って乗り越えていきましょう!

新年のご挨拶

謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
旧年中は格別のお引立てを賜わり誠にありがとうございました。
お陰様で弊所は開所以来11度目の新年を迎えることができました。
これもクライアント様を始め、皆様のご高配のお蔭と衷心より厚く御礼申し上げます。
本年もご期待に沿えますよう一層精励致しますので、何卒倍旧のご愛顧を賜わりますようお願い申し上げます。

岡特許商標事務所 所長 弁理士 岡 健司

年末年始の営業について(その2)

特許庁の年末年始の開庁日が例年通りとなることが確認できましたので、弊所の年末年始の営業につきましても下記の通りとさせて頂きます。

~12月28日(月):通常営業
12月29日(火)~2021年1月3日(日):休み
1月4日(月)~:通常営業

退所のご挨拶(弁理士 岩佐)

弁理士の岩佐です。

この度、県外への転居に伴い、本日12月15日をもって岡特許商標事務所を退所することになりました。
約3年間と短い間ではございましたが、お世話になりました皆様、どうもありがとうございました。

退所後は、しばらくは子育てと家族のサポートに専念する予定です。
またいつか知財のお仕事に関わらせて頂くことができればと思っております。

私にとって和歌山は第二のふるさとと言ってもいいほど大好きな場所でした。
そんな和歌山でたくさんの自治体様や、企業様、発明者様のご相談に対応させて頂くことができ、大変貴重な経験をさせて頂きました。
微力ではございましたが、皆様にとって少しでもお役に立てていたのであれば嬉しい限りです。

ありがとうございました。

岩佐佑希子

年末年始の営業について

弊所は、GW・お盆・年末年始を問わず、特許庁が開庁している日は営業することにしておりますが、今年の年末年始につきましては、コロナ対応のため、政府が年末年始の分散取得を要請しております。
特許庁については例年通りのスケジュールになろうかと思っておりますが、現在の感染状況を踏まえて政府方針が示される可能性もありますので、その際には弊所の年末年始のスケジュールも特許庁のスケジュールに合わせることになります。
つきましては、特許庁の年末年始のスケジュールが確定次第、弊所の年末年始のスケジュールもご案内させて頂きます。

新規性喪失の例外規定について(弁理士 岩佐)

弁理士の岩佐です。今回は、新規性喪失の例外規定についてお伝えいたします。

「特許権は発明を公開する代償として与えられる」という特許制度の趣旨から、一度公知になってしまった(新規性を喪失した)発明は特許を受けることができないことを前回お伝えいたしました。

しかし、救済手段が全くないかというとそうではありません。

特許法第30条には、発明を公開した後にその発明の特許を受ける権利を有する者(権利者)が特定の条件の下で特許出願をした場合には、その公開によって新規性が喪失しないものとして取り扱うという「新規性喪失の例外規定」が設けられています。

例えば、以下のような権利者の行為に起因したり、または権利者の意に反したりして発明の新規性が失われた場合に新規性喪失の例外規定の適用を受けることができます。

 ・試験の実施
 ・刊行物(書籍、雑誌、予稿集等)等への発表
 ・電気通信回線を通じての公開
 (予稿集や論文をウェブサイトに掲載した場合、新製品をウェブサイトに掲載した場合、発明した物を通販のウェブサイトに掲載した場合等)
 ・集会(学会、セミナー、投資家や顧客向けの説明会等)での発表
 ・展示(展示会、見本市、博覧会等)
 ・販売、配布
 ・記者会見・テレビやラジオの生放送番組への出演等
 ・非公開で説明等した発明がその後権利者以外の者によって公開された場合
(非公開で取材を受け、後日その内容が新聞・テレビ・ラジオ等で公開された場合等)

また、新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、以下の手続が必要となります(権利者の意に反して発明の新規性が喪失した場合は、2、3の手続は不要)。

 1.発明を公開したり、公開されたりしてから1年以内に特許出願すること
 2.特許出願時(※)に発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする「旨を記載した書面」を提出すること(願書に記載することで省略可)(※特許出願した後で申請することはできません)
 3.特許出願の日から30日以内に、発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを「証明する書面」を提出すること

ここでご注意いただきたいのは、新規性喪失の例外規定は、出願日自体が公開した日(新規性を喪失した日)まで繰り上がるという規定ではありません。権利者本人が公開したという事実によってはその発明の新規性は喪失しないものとして取り扱うだけです。つまり、他人の行為(他人による出願や公開)までは対象としていません。

例えば、権利者が新規性喪失の例外規定を適用して出願を行ったとしても、発明が新規性を喪失した日から出願までの間に、権利者が公開した発明を知った第三者がその内容を出願したり、公開したりしてしまった場合には、権利者は特許を受けることができなくなってしまいます。

従いまして、もし発明を出願前に公開してしまった場合は、1年以内なら大丈夫とは思わずにできるだけ早く出願を完了させることが重要です。

詳しくは以下をご参照ください。

〇平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/hatumei_reigai/h30_tebiki.pdf

〇平成30年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/hatumei_reigai/h30_qanda.pdf

上記3.の発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを「証明する書面」については、以下の対応が可能となっております。
〇新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応について
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/hatumei_reigai.html

発明が完成したら気を付けること(弁理士 岩佐)

弁理士の岩佐です。
今回は、発明が完成したら気を付けること、についてお伝えいたします。

「こんな発明をしたので特許を取りたいんです」と相談に来てくださる方。
詳しくお話をお聞きすると、

 「試作品を展示会でお客さんに見せたらとても好評で・・・」
 「このアイディアを講演会で話したら質問がたくさん来て・・・」

というように、発明を他の人に見せたり話したりして感触が良かったので特許を取りたいと相談に来られる方が多いように思います。
確かに、せっかく良いものができたのなら他の人にも見せたい、話したいと思いますよね。
そして、その評価が良ければ「他人にマネされたくない」と思い、そこで初めて「特許を取ろう!」と思われるのだと思います。

しかし、特許権というのは、当たり前ですが、どんな発明にでも与えられる権利ではありません。

特許権とは、産業の発展に寄与する発明をした者に対して、その発明を世の中に公開する代償として独占的に与えられる権利です。
ですので、すでに世の中に知られている発明(これを公知発明といいます)については特許権を与える意味がなく、特許の保護対象にはならないのです。

「いい発明ができた!」と思ったときは、一度立ち止まって特許として権利化しようとする可能性はないかよく考えて頂ければと思います。そして、その可能性が少しでもあるのであれば、特許出願前に発明を他人に開示してはいけません。どうしても出願前に発明を開示する必要がある場合には、秘密保持契約を結んでおく等の対応が必要になります。
一方、出願後であれば(それがまだ特許として登録されていなくても)、サンプルを配ったり、他人に話したりしても構いません。

ここでご注意いただきたいのは、発明が公知になったかどうかは、発明を知られた人数に関係ないということです。たとえ一人だけに知られたとしても、その人が秘密保持義務を負っていないのであれば公知になります。

また、発明が実際に知られていなかったとしても、公然と知られる状況または公然と知られるおそれのある状況に置かれた場合(これを公用といいます)も、権利化することはできません。例えば、発明品を展示会に出展したけれど、誰一人来てくれなかったといった場合でも公用にあたります。

では、もう公知・公用になってしまった発明は絶対に特許は取れないのか?ということですが、これに対する救済措置として「新規性喪失の例外規定」というものがあります。

これについては、次回お伝えしたいと思います。

ゴルフと特許

今回は少し趣を変えて、くだけた記事をUPさせて頂きます。
当職はゴルフをするのですが、昨今の状況もあり、控えておりました。
先日、ようやく約1年2か月ぶりに、本年最初で最後になるであろうゴルフをしてきたのですが、今年に入ってからゴルフクラブを握るどころか、運動を全くしていなかったせいで多くのボールをロストしてしまいました。
その際、過去に先行調査の依頼を受けた案件で、印象に残っていた公開公報(WO2017-057157)を思い出しましたので、ご紹介させて頂きます。

日本企業の出願で、ゴルフ用のドローンに関する発明になります。
要約すると、カメラと、カメラが撮影したボールの画像を演算する演算部と、コースの情報が記録されているデータベースと、GPS機能と、制御部と、通信部が内蔵されているドローンを用いて、プレイヤーが打ったボールの画像情報からボールの移動経路を予測・追尾して落下地点の上空でホバリングをするとともに、その位置情報をゴルフカート上やスマホ上に表示するというものです。(下に示します該出願の図面をご覧頂ければそのアイデアが一目瞭然かと思います。)
もし、実現されれば、ボール捜索の時間は大幅に短縮されることになります。(ラフにあるばずなのに見つからない、でも諦めたくなくて時間を費やして後続の組に迷惑をかけてしまう、ということも防止できることになると思います。)

また、該出願には、このドローンの様々な使い方も提案されております。
例えば、ショットする際、グリーン方向やピンが見えないケースがあります。
通常は、同伴者がショット方向に立って目印となってくれますが、コースの情報が記録されていることから、このような役割もこのドローンにさせることができると記載されています。
さらに、ボールの落下場所がOBゾーン等、ショットできない場所にある場合には、ボールを回収して戻ってくることもできると記載されています。

該出願は現在、日本、米国、中国において審査が行われており、補正の後、特許になる可能性があります。
また、光学機器メーカーが出願人ですし、ゴルフをされる方にとっては便利なものと思いますので、製品化されて発売される日が来るかもしれません。(少なくとも、当職は絶対に買いたいと思います。)

さらに、ゴルフ場にとってもスロープレーを解消できることになりますので、メリットがあると思います。
将来、ゴルフ場に行った際、フロントでスコアカードケースと一緒に小型ドローンを渡される日が来るかもしれません。

 

 

 

事務所だより🌷

事務所だより担当の的場です。

早いもので14回目となりました。

最近の事務所だよりは『コロナ』の話題に触れる事ばかりでしたが、今回は「夢のある内容」を綴りたいと思います。

」から連想する言葉は沢山ありますが...壮大さを考えると「宇宙旅行」と言うワードが頭をよぎります。

その、「宇宙」ですが、来年あたりから「宇宙」=「和歌山県・串本」と認知される様になる日が来るかもしれません。
昨年ニュースにもなった、国内初の衛星搭載型民間ロケットの打ち上げ事業が着々と進められており、発射場の名は「スペースポート紀伊(場所:串本町・田原地区)」と言う名称に決定したとの事です。
実際、民間の小型衛星の需要が高まりつつある中での民間企業による発射場で、完成すれば、日本では初めての民間の常設ロケット発射場となるそうです。
打ち上げ頻度も多く、和歌山にとっては観光や雇用など多岐にわたって期待できる様です。
広い宇宙の一角に住んでいる身としては、地球の上にはどんな風に何がどこまで広がっているのか…ちらっと見てみたい気持ちはあっても、未知の世界に足を踏み込む宇宙旅行はとても怖く、この先も私はきっとその遥か彼方の宇宙を体験することはまずないのだろうと予想がつきます。
しかし、その宇宙に向かって発射するロケットが地元和歌山で打ち上げられるとなると、そんな私でも打ちあがる瞬間を足を運んで目の前で見てみたいと思うし、きっと感動するのだろうなと想像がつきます。
20年夏から管制塔、組立工場、発射場などの施設建設に入り、2021年の夏には完成予定で、21年度中には初打ち上げを予定しているそうです。
「スペースポート紀伊」と「延期になった東京オリンピック開催」、共に来年に向けての楽しみにしたいと思います。