弊所は、開所以来、GW・お盆・年末年始を問わず、特許庁が開庁している日は営業することにしております。
従いまして、GW期間につきましても以下のスケジュールで営業・稼働しておりますのでよろしくお願い申し上げます。
~4月28日(金) :通常営業
4月29日(土)、4月30日(日):休日・祝日
5月1日(月)、5月2日(火) :通常営業
5月3日(水)~5月7日(金) :休日・祝日
5月8日(月)~ :通常営業
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弊所は、開所以来、GW・お盆・年末年始を問わず、特許庁が開庁している日は営業することにしております。
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今回の新着情報は、テレビドラマについてです。
4月12日(水)から読売テレビ(日本テレビ系列)で「それってパクリじゃないですか」というテレビドラマが始まりました。
今まで、下町ロケットなど、知的財産権(特許権が主です)が重要な要素となるドラマはいくつかありましたが、登場するのは弁護士のみで、知的財産権に直接携わる「弁理士」が登場するドラマはありませんでした。
少し調べてみたところでも、士業が登場するドラマは、弁護士は数多く、その他の士業も税理士(TBS:税理士楠銀平の事件帳簿)、行政書士(フジテレビ:カバチタレ)、公認会計士(NHK:監査法人)、司法書士(地方局:奮闘!びったれ)などがありましたが、やはり弁理士が登場するドラマは発見できませんでした。
そんな中、今回、弁理士がしかも主役(?)で登場するドラマが始まりました。画期的なことだと思います。
第一回の感想ですが、知財の要素をうまく散りばめながら、ジャニーズWESTの重岡大毅さん演じる「北脇弁理士」の活躍(?)もあって、芳根京子さん演じる「藤崎亜季」の無実を証明しつつハッピーエンドになるという、楽に見ることができるドラマになっていました。
また、監修に入っておられる西野弁理士は、弁理士が通常行っている出願~権利取得の実務はもとより、ライセンス交渉や知財訴訟も数多く経験しておられる方なので、知財面からの裏付けも誤りがなく、正確に描けていると思いました。
尤も、最後の社長のオチはドラマだなぁと思いましたが・・・(テレビに向かって、そんなアホなって思わずツッコんでしまいました(笑))
さて、前置きが長くなりましたが、第一回のテーマは「冒認出願」と、それに伴う「権利移転請求」という事案でした。
少し解説をしますと、「冒認出願」は、完成した他人の発明を無断で(盗んで)自分の発明として出願した出願のことを言います。
本来、このような出願は特許庁の審査において拒絶されるべきものなのですが、特許庁は出願書類に記載されている発明者が真の発明者であるか否かを確認する手段がありません。
なので、冒認出願に係る発明が既に公知の技術でない限り、「冒認出願」にも特許権が付与されること(謂わば「冒認特許」)になります。
そして、この「冒認出願」、「冒認特許」の内容は公報として発行されることになります。(この点が非常に重要なポイントになります。ドラマでも「特許公報」が映し出されるカットがありましたよね。)
一方、真の発明者は、盗まれた自分の発明を正式に自分の出願として出願を行い、権利化したいところです。
ところが、盗まれた自分の発明の内容は、既に「冒認出願」、「冒認特許」の公報として公表されてしまっていますので、真の発明者の出願は「冒認出願」、「冒認特許」の公報と同じ内容(発明)であるとして拒絶されることになります。
従って、以前は、真の発明者は自分の権利として権利化をすることができず、権利が付与された「冒認特許」に対して無効審判を請求して権利を消滅させることしかできませんでした。
このように、以前は、真の発明者は泣き寝入りするしかなかったのです。
しかし、最高裁判所によって、このような冒認出願が特許になった場合、真の発明者は冒認出願であることを証明すれば権利を自分のところに移転させることができる(自分の手に取り戻すことができる)、との判決がなされました(平成9年(オ)1918号:平成13年6月12日判決・民集55巻4号793頁)。
そして、この最高裁の判決を受けて、平成23年に特許法の改正が行われ「冒認出願に伴う権利移転請求」が、特許法第74条として規定され、認められることになりました。
なお、この「冒認出願に伴う権利移転請求」は、制度としては存在するのですが、実務としてはほとんどなされることはありません。
恐らく、9割近くの弁理士はやったことがない手続だと思います。(当職も約16年弁理士をやっていますが、一度も経験したことがありません。)
冒認された側としては、冒認をされた(技術が盗まれた)こと自体を世間に明らかにしたくないですし、ドラマのように両者間で権利譲渡を行うなど内々で解決したり、或いは回避手段を考えるのが通常だからです。(ドラマでも、月夜野ドリンクの開発者たちがハッピースマイル社の「冒認特許」を回避する手段を考えていましたよね。)
以上が解説になります。
第一回は非常にレアなケースを題材にしていましたが、予告によると第二回はパッケージの類似という、実務でもよくある事案がテーマのようですので楽しみです。
弊所では、毎月第二、第四日曜日にボランティアの無料相談会を開催しておりますが、新型コロナウイルスの感染防止のため、2020年から、ご来所頂く相談者の皆様にマスクの着用と手洗いの実施をお願いしておりました。
今般、全国的にマスク着用ルールが緩和されることになりましたので、弊所無料相談会においてもマスク着用のお願いは終了させて頂きます。
一方、ご来所時の手洗いにつきましては当分の間継続させて頂きますので、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。(https://www.okapatent.com/contact.html)
次回の無料相談会(3月26日:3月第四日曜日)から実施させて頂きますので、よろしくお願い致します。
今回の新着情報は、商標出願の別の活用方法についてです。
商標出願を行う一番の目的は言うまでもなく商標権を取得するためですが、商標出願には、商標権が取得できないものであることを確認するために敢えて商標出願を行うという活用法もあります。
今回はその活用法について解説したいと思います。
商標権を取得するためには特許庁(審査官)の審査を通過する必要がありますが、商標法には商標登録を受けることができない条件が列記されています。
これを登録要件と言い、審査官は出願された商標がこの列記されている登録要件(チェック項目)に該当する否かを審査します。
そして、出願された商標が列記されている登録要件の中の1つにでも該当する場合には出願を拒絶をし、該当するものが全くない場合には登録査定を行います。
この登録要件は商標法の第3条(一般的登録要件)と第4条(具体的登録要件)に規定されており、その中でも第3条に規定されている「一般的登録要件」と言われるものの概要は以下の内容となっています(特許庁HPから抜粋)。
i) 商品又は役務の普通名称のみを表示する商標(商標法第3条第1項第1号)
ii) 商品・役務について慣用されている商標(商標法第3条第1項第2号)
iii) 単に商品の産地、販売地、品質等又は役務の提供の場所、質等のみを表示する商標(商標法第3条第1項第3号)
iv) ありふれた氏又は名称のみを表示する商標(商標法第3条第1項第4号)
v) 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標(商標法第3条第1項第5号)
vi) その他何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識することができない商標(商標法第3条第1項第6号)
重要な箇所を赤字表示していますが、要するに、そもそも商標としての識別力がないもの(出願)は登録を認めない、ということです。
その理由は、商標としての識別力がないものについて、一個人に独占権(商標権)を与えてしまうと弊害が大きいからです。
例えば、商品「みかん」に対して、「みかん(1号の普通名称)」の商標の使用を一個人にのみ認めてしまうと、社会が混乱してしまいます。
なので、そのような出願は登録を認めない、ということです。
従って、3条に基づいて出願が拒絶された場合には、独占権(商標権)は取得できないことになります。
しかしながら、ここで重要な点は、3条に基づいて出願が拒絶された場合には、独占権(商標権)は取得できないだけであって、商標の使用自体が禁止されるものではないという点です。
つまり、3条に基づいて出願が拒絶された場合には、出願に係る商標は全ての人が使用できるものであるということになります。
言い換えれば、商標法第3条の規定は、一個人が独占的に使用することができないものであることを特許庁(日本国)が認定してくれる(お墨付きを与えてくれる)ものである、ということができます。
そこで、この条文の構造(意味)を利用して、対象としている商標(ネーミング)がそもそも商標としての識別力がないものであることを確認するために商標出願を行うという活用法があります。
例えば、「和歌山みりん」や「紀州ホテル」などは、1号の普通名称(みりん、ホテル)と3号の記述的商標(和歌山、紀州)の組み合わせであることから、明らかに3条の要件に該当するものとして拒絶されることになります。
しかしながら、識別力があるのかないのかが微妙な商標(ネーミング)の場合には、特定の個人が商標権として権利を取得してしまうのではないかという心配があります。
そこで、このような微妙な商標(ネーミング)について、3条で拒絶されたという記録(お墨付き)を作るために、商標出願を行うことがあります。
多くの場合、地方公共団体、商工会議所、商工会などの公的な団体がこのような商標出願を行い、敢えて拒絶査定を受けることによって、誰でも使用していいですよ、というアナウンスをしています。
因みに、当職もこのようなアドバイスを行い、実際に商標出願を行って3条による拒絶査定を受けられて、目的を達成された団体がいくつかあります。
このように、商標法第3条の規定を活用した商標出願は公的な団体が行うことが多いのですが、今回、この活用法を一般企業でも実践された事例がありました。
昨年「ゆっくり茶番劇」事件でニュースになった、株式会社ドワンゴです。
「ゆっくり茶番劇」事件の内容についてはこのHPでも紹介しました(「ゆっくり茶番劇」事件について思うこと)が、今回、以下の3つの商標(ネーミング)について、敢えて3条で拒絶されることを目的とした商標出願が行われました。
「ゆっくり実況(商願2022-058346号)」
「ゆっくり解説(商願2022-058347号)」
「ゆっくり劇場(商願2022-058348号)」
その結果、審査において、3つの出願はいずれも商標法第3条第1項第3号の記述的商標であるとの認定となり、拒絶査定を受けました。
つまり、3つの商標(ネーミング)は、一個人が独占することができないものであるという、特許庁(日本国)のお墨付きをもらったということになります。
株式会社ドワンゴは、この結果について、公式Twitterアカウント上にて発表を行い、広くアナウンスを行っておられます。(https://twitter.com/nico_nico_info/status/1626066367865815043)
このように、商標出願においては、権利を取得する目的以外に特許庁(日本国)のお墨付きをもらうために敢えて拒絶査定を受ける目的で出願を行うことがあります。
他の出願(特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願)にはない、商標出願の特徴の1つです。
謹んで新年のご祝詞を申し上げます。
旧年中は格別のお引立てを賜わり誠にありがとうございました。
お陰様で弊所は開所以来13度目の新年を迎えることができました。
これもクライアント様を始め、皆様のご高配のお蔭と衷心より厚く御礼申し上げます。
本年もご期待に沿えますよう一層精励致しますので、何卒倍旧のご愛顧を賜わりますようお願い申し上げます。
岡特許商標事務所 所長 弁理士 岡 健司